フレガート(ロシア語: Фрегат、英: Fregat、フリゲートの意)は、ロシアのサリュート設計局により開発された艦載3次元レーダー。順次に改良・発展型が配備され、ソビエト連邦海軍およびロシア海軍において、対空捜索用として広く採用されている。

フレガート/フレガート-M

MR-710「フレガート」(露: Фрегат)は、もっとも初期に開発された機種であり、NATO名は Top Steer(トップ・スティア)。主任設計官はレオニード・A・ロジオノフであった。

前任のMR-310「アンガラーA」(NATO名 Head Net)などと同様に、180度背中合わせに配置した2つのレーダー面をもつバック・トウ・バック方式を採用しており、これは以後のフレガート・ファミリーにおいても踏襲された。本機においては、アンテナとしては縦長と横長のパラボラアンテナが1面ずつ用いられている。使用周波数はS(E)バンド (2〜2.5 GHz)、最大探知距離は、当初は145–150 km (78–81 nmi)であったが、後の改修で300 km (160 nmi)まで延伸された。

またのちに、改良型のMR-710M「フレガート-M」(露: МР-710М «Фрегат-М»)を経て、2面のアンテナのうちの縦長のパラボラアンテナを四角形のプレーンアンテナに変更したMR-710M-1「フレガート-M1」が登場した。これは「プレート・スティア」のNATO名を付与された。

搭載艦

  • 956型駆逐艦(ソヴレメンヌイ級)
  • 1143型重航空巡洋艦(キエフ級)
  • 1144型重原子力ミサイル巡洋艦(キーロフ級)
  • 1164型ミサイル巡洋艦(スラヴァ級)

フレガート-MA

MR-750/760「フレガートMA」(露: Фрегат-МА)は、アンテナを両面ともにプレーンアンテナとするとともにデジタル信号処理を導入したシリーズの最新型であり、「トップ・プレート」のNATO名を付与されている。

搭載艦

  • 956型駆逐艦(ソヴレメンヌイ級) ※6番艦以降
  • 1135.1型国境警備艦(クリヴァク-III型)
  • 1143.5型重航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」
  • 11430型航空母艦「ヴィクラマーディティヤ」
  • 11540.2型警備艦「ヤロスラフ・ムードルイ」
  • 1155型大型対潜艦(ウダロイ級)
  • 1914.1型測定艦「マーシャル・クルイロフ」

フレガート-M2

「フレガート-M2」(露: Фрегат-М2)は、シリーズの軽量型として開発された。現在では発展型の「フレガート-M2EM」(Фрегат-М2ЭМ)も配備されており、こちらは、有効探知距離230 km(対戦闘機)、50 km(対ミサイル)とされている。

搭載艦

  • ミサイル給兵艦「アレクサンドル・ブリキン」
  • 11540.1型警備艦「ネウストラシムイ」
  • タルワー級フリゲート

フレガート-MAE

フレガートMAE(露: Фрегат-МАЭ)または MR-755 はフレガート-MAシリーズの輸出型であり、最大探知距離150 kmとされている。

「フレガート-MAE」および「フレガート-MAE-1」はプレーンアンテナ1面のみを有しており、Half Plate(ハーフ・プレート)のNATO名を付与されている。これらの背面には、アメリカのAN/SPS-6で見られたような風圧バランス用のベーンが設置されている。

一方、「フレガート-MAE-2」および「フレガート-MAE-5」は「フレガート-MA」と同様にプレーンアンテナ2面を有しており、Top Plate-B(トップ・プレートB)のNATO名を付与されている。

搭載艦

  • デリー級駆逐艦

382型レーダー

382型レーダー・H/LJQ-382 レーダーと、フレガート-MAE-3との関係は明らかではない。2015年にサラ・キルヒバーガーおよびジェーン海軍年鑑2015–2016によってフレガートの一種もしくはそのリバースエンジニアリングバージョンとされたが、ポール・シュワルツはロシアのレーダーに比べて「かなり進歩している」と述べている。2020年、ヴェルトハイムは中国の呼称と併せて Top Plate という用語を使用した。

搭載艦

  • 052B型駆逐艦(広州級)
  • 051C型駆逐艦(瀋陽級)
  • 054A型フリゲート(江凱-II型)
  • 空母「遼寧」
  • 075型強襲揚陸艦

脚注

出典

参考文献

  • Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629. https://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC 
  • Wertheim, Eric (June 2020). “China's Multipurpose FFG”. Proceedings (U.S. Naval Institute) 146 (6). 0041798X. https://www.usni.org/magazines/proceedings/2020/june/chinas-multipurpose-ffg. 
  • Kirchberger, Sarah (2015). Assessing China's Naval Power: Technological Innovation, Economic Constraints, and Strategic Implications. Global Power Shift. Springer. ISBN 978-3-662-47127-2 
  • Saunders, Stephan, ed (2015). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Jane's Information Group. ISBN 978-0710631435 
  • Schwartz, Paul (August 2015) (PDF). Russia's Contribution to China's Surface Warfare Capabilities: Feeding the Dragon. Global Power Shift. Rowman & Littlefield. ISBN 978-1-4422-5879-2. https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/legacy_files/files/publication/150824_Schwartz_RussiaContribChina_Web.pdf 

関連項目

  • AN/SPS-52 - アメリカのヒューズ社が開発した艦載3次元レーダー。西側諸国のテリア/ターター・システム搭載艦に広く採用された。
  • SMART - オランダのタレス・ネーデルラント社が開発した艦載3次元レーダーのファミリー。

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